資産運用 金融商品

時間を割かずに運用するバランスファンドのメリット・デメリット・選び方

こんな方におすすめ

  • 資産運用の必要性は分かっているが、運用している時間が取れないであろう人
  • バランスファンドのメリット・デメリット・選び方について意見が欲しい人
  • ほったらかし運用の方法を模索している人

はじめに

バランス・ファンドというものがあります。様々な金融資産をパック売りする金融商品です。一見便利そうに見えますが、実は中々頑固で使いづらい商品だったりします。

バランス・ファンドは実は「投資に触れたくない人向け」の商品であり、そういった人が購入すると便利です。しかし、投資に興味がある人が購入すると、途端に使いづらい金融商品になります。自分は以前、確定拠出年金で分散投資をした時に、まともな商品が無く、仕方なしにバランス・ファンドの一部でリスクヘッジを試みるような酷い運用をしたことがあります。

そういった「ダメな経験」もあり、一度バランス・ファンドについて、まとめておく必要があると感じていました。そこで、メリット・デメリット、そして商品の選び方を紹介しようと思って、この記事を書きました。

バランス・ファンドのメリット

まずはバランス・ファンドのメリットから紹介します。

リバランスが不要

第一にリバランスが不要である、ということです。

リバランスとは資産比率を元々の値に戻すことですが、それは「リスクを元に戻す」行為でもあるわけです。これについては、別の記事に触れたので詳細はそちらを参考にして下さい。

参考適正なキャッシュポジションの計算方法:非リスク資産の比率と基準

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とにかく、バランス・ファンドにおいては、定期的にリバランスされていて、「何もしなくてもリスクが是正され続ける」という特徴があります。自分が許容できる以上のリスクをいつの間にか背負っていた、という事態は発生しないのが、バランス・ファンドのメリットでもあります。

リバランスが無料

そして、ファンド内でリバランスが発生するため、投資家が売買を実行する必要がありません。すなわち、投資家に収益が発生しないため、リバランスのために所得税が発生しない、というメリットがあります。

ただ、これについては、確定拠出年金やNISA枠をうまく活用することで、同様のことが実施できるかもしれません。確定拠出年金では、出口のタイミング、すなわち「年金もしくは退職金として受け取るタイミング」で所得課税されることになっていますが、運用中の利益については課税対象外となっています。ですから、リバランスは無料で実施できます(買い付けの商品によっては売買手数料がかかりますが)。

NISA枠は非課税枠ですから、利益確定に伴う所得税は発生しません。ですから、リバランスで調整する可能性がある商品を積み立てNISAで購入し、減税措置を受ける、という案もあります。ただ、NISA枠は出来れば、積み立てNISAで20年の長期間投資に使って、長く減税措置を受けたいので、少し難しいかもしれません。

何にせよ、バランス・ファンドと同様にリバランス時に所得税を発生させない方法というのは限られています。

ほったらかし運用に適する

バランス・ファンドの最大のメリットとは、ほったらかし運用が出来る、ということです。資産運用は許容リスクの中で実施するのが基本であり、それを維持するのがリバランスという機構、とも考えることが出来ます。そのリバランスが「自動的に実施される」のであれば、それは「ほったらかし運用が可能」とも言える訳です。

その最たるものがターゲット・デート・ファンドでしょう。ターゲット・デート・ファンドは、目標日に利益確定をすることを前提とした商品です。目標日に近づくにつれて、リスク商品の割合を落としていく運用がされており、目標日直前で大損する様なことが無い様な設計がされています。ターゲット・デート・ファンドはバランス・ファンド一種と言えますが、何せ、「買ってしまえばあとは放置で良い」というメリットがありますから、運用に興味がない人にとっては魅力的でしょう。実際に自分も知人におすすめすると思います。個々の商品設計はちゃんと確認しますが…。

ターゲット・デート・ファンドについては、以下で詳しく論じたので、興味があれば見てみてください。

参考ほったらかし運用専用商品「ターゲット・デート・ファンド」のメリットとデメリット各3選

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参考ターゲット・デート・ファンドの選び方とおすすめ商品

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以下のデメリットにも関係するのですが、注意点としては、「前提条件が変わった時」には投資者が自ら決断や商品の入れ替えを行う必要がある、ということです。

例えば、年齢を重ねて、バランス・ファンドの資産割合が不適切になってきた時、別のバランス・ファンドに買い替える必要があるでしょう。また、ターゲット・デート・ファンドの目標日を変更したくなることもあるでしょう。そういったときは、利益確定と再投資の判断が必要になってきます。

バランス・ファンドのデメリット

資産の割合が分かりづらい

投資に興味がある人は、他の金融商品にも興味を持つことになるでしょう。例えば、個別株であったり、NASDAQ連動インデックスファンドの様な割と値動きの激しいインデックスファンドなどに興味を持つかもしれません。そういった状況であっても、リスクはどの程度あるのか、について意識をすることが大切になってきます。

通常、海外株式の割合や国内株式の割合、その他債権などの割合などから、知識があれば計算をすることが出来ます。計算まで出来なくても、何となくでリスクを捉えられるはずです。

しかし、バランス・ファンドの中身というのは、目論見書に記載はありますが、ある時点でどうなっているかは、部外者は知ることが出来ません。ファンドの中の人だけが「ある時点での資産比率」を知ることが出来ます。この「資産の比率を適切に把握することが出来ない事実」により、自分の持つ資産と通算して、リスクを管理することを困難にします。ですから、資産の見通しが悪くなる、という欠点があります。

資産の配分比率の変更に対応できない

バランス・ファンドは「資産比率が事前に設計された金融商品」です。そのため、当たり前ですが、途中で資産比率の変更などをすることは、商品の特性上、不可能となっています。

ですから、例えば、「景気が減速しそうなので、債権比率を高めたい」と思っても、それをバランス・ファンドで実現するのは難しくなります。強いて実現しようとすれば、一度バランス・ファンドを売却して、別のファンドを再購入する、といった方法がありますが、通常おすすめ出来る方法ではないでしょう。

事前に資産比率が設計されていて、その通りに運用される、というのは大きなメリットです。しかし、その反面、上記のようなデメリットを抱えていることは把握しておく方が良いでしょう。

真に欲しいバランス・ファンドは少ない

本当に欲しいバランス・ファンドがあるか、というのも問題です。例えば、株式と債券が1:1になっているバランス・ファンドが欲しい、と思っても、そういったバランス・ファンドが売り出されていなければ、勿論購入することは出来ません。

この傾向は特にターゲット・デート・ファンドで顕著です。ターゲット・デート・ファンドは「そもそも希望する目標日のファンドがあるか」という所でハードルがあり、さらに「運用方針が自分の希望通りか」という所でもハードルがあります。さらに「安定運用されるか」という、投資信託を選択する際に重要となる要素まで加味すると、選択肢が著しく減るのが現状です。ただ、このラインナップ不足については、今後確定拠出年金や積み立てNISAがさらに普及していくことで解消されていく可能性があります。

何にせよ、欲しい商品がない、といった状況になる可能性は現在の日本では大いにあります。もちろん、今後状況が改善されていく可能性は十分にありますから、購入時に良く商品を検討することが重要となってくるでしょう。

バランス・ファンドが適する人とは?

バランス・ファンドを買ってもよい人は「ほったらかしで運用したい」人だけと個人的には考えています。もちろん、資産運用の一部をほったらかし運用したい、というのでも良いのですが、どちらにせよ「ほったらかし運用」がキーワードだと考えるべき、というのが個人的見解です。

「ほったらかし運用」を望む人というのは、以下のような人が当てはまるでしょう:

  • 激務の人
  • 含み損が怖い人
  • 投資が良くわからない人

1人目の「激務の人」は運用する時間がないから外注する、という形でしょう。

2人目の「含み損が怖い人」は含み損になると心が落ち着かないから、一度買ったらあとは放置したい、という事でしょう。企業型確定拠出年金で、資産運用をしろといきなり言われた管理職はそんな感じでしたね…。新規に勉強するのも大変だし、大きく損をしなければそれで良いと。事前の設計に基づき、ファンドが運用してくれるので、そういう人には向いていると思っています。

3人目の「投資が良くわからない人」は「投資の知識が不足しているので、専門家に任せたい人」でしょう。ファンドに無駄に高い手数料を払ったり、過剰なリスクを取ったりしなければ、そういった方にも適するのかもしれません。投資の前に勉強した方が良いと考えてしまいますが、そういったことに自分の時間を割きたくない人がいるのも理解します。

これらのケースであれば、バランス・ファンドを買って良さそうな気がしませんか?これらの人たちに共通するのは「投資から一定の距離を取りたい」ということです。激務で投資に時間を割けない、自分の損が怖くて出来る限り見たくない、分からないから近寄りたくない…そういった「投資に距離を置きたい」事情や感情を持ちながらも、「必要性は頭で理解している」という人が検討すべきなのがバランス・ファンドという金融商品でしょう。

バランス・ファンドを買うときの注意点と選び方

以上を踏まえた上で、バランス・ファンドを購入するとしたら、どういったことに気を付けるべきなのか、注意点をまとめて行きます。

1目的1バランス・ファンドで買う

購入する場合に、どういった買い方をすべきなのか?について考えてみましょう。

結論から言うと、「1目的1バランス・ファンド」で購入すべきということです。例えば、「住宅購入資金用運用10年間を債権7割のバランス・ファンド1本」とか、「退職金用の確定拠出年金のために2050年目標のターゲット・デート・ファンド1本」とか、そういった買い方です。これを混ぜたりすると、ややこしくなってきます。というより、デメリットで説明した様に、「全体としての見通しは悪くなってしまう」のがバランスファンドですから、なるべく見通しを良くして、商品を選択していくのが基本になります。

このように、1目的1バランス・ファンドにしてしまうと、運用上も割と楽です。ターゲット・デート・ファンドでなく、固定比率で運用されるバランス・ファンドの場合、ライフステージに応じて、リスクを変化させたいことがあります。例えば、20年後の退職金のために運用する場合、10年目くらいで一度リスクを下げるために債権比率を上げることをしたくなることがあるでしょう。その時に、「このファンドは退職金のために用意していたから、全部をリスクの低いバランスファンドに移せばよい」と判断できるのは運用上大きなメリットです。判断がシンプルになるからです。

そもそも、細かく考えるのが好きな投資好きタイプなら、バランス・ファンドは買わないわけで、バランス・ファンドを買う人が複雑な判断をしたがるとは思えません。ですから、このように「目的とファンドを1対1対応にしておく」のがおすすめの買い方になります。

頻繁に資産を入れ替えない

資産運用をしていると、何もしていない時に不安に思う人がいるそうです。その気持ちは分かります。人間は何かをしている時の方が安心出来るものです。

しかし、だからといって、頻繁に資産を組み替えるのは危険な運用です。デメリットで説明した様に、バランス・ファンドは商品の特徴上、資産の組み換えが難しくなっています。ですから、頻繁な商品の組み換えを行う運用に適した商品ではありません。加えて、頻繁な組み換えを行ってしまうと、買い替えの際に発生する「売買手数料」「利益確定に伴う所得税」を節約できるバランス・ファンドのメリットが失われる可能性もあります。そもそも、頻繁な商品の買い替えというのは、商品の趣旨に反している、というわけです。

バランス・ファンドの運用とは、リスクを考え、商品を選択し、あとは前提が変化するまで放置する、というものです。ですから、投資に時間を使わなくて良いし、ほったらかし運用が基本的に出来るわけです。逆に、前提が変化した時に買い替えをするのを忘れる方が運用上のリスクとなります。この買い忘れリスクを低減する商品が「ターゲット・デート・ファンド」であるとも言えます。

もっとも、ここまで読んでバランス・ファンドを選んだのであれば、「運用から距離を置きたい人」なわけで、わざわざ積極的な運用をするとは思えませんが、注意喚起のために記載しておきます。

資産の割合は確認する

投資のことが分からなくても、資産の割合は必ず確認し、最大の損失がいくらになるかくらいは確認して下さい。

固定比率で資産が決まっているバランス・ファンドにおいては、株式の割合だけ確認して、それを半分にした割合が損失になりうる、とだけ理解しておけば良いと思います。具体的には、株式比率40%のバランス・ファンドを買うと、買った直後に株の大暴落が起きると、20%が損失になる、というイメージです。初めに10万円分買ったのであれば、8万円相当になってしまう、という事です。

長期的には、含み益が付き、その段階からの計算になるので、含み益が30%あった(つまり価格が2倍)とすると、4%程度の含み益になる、という事でもあります。年利5%平均で運用出来ていれば、5~6年ほどの運用で得られる利益ですから、このケースで言うと10年以上の長期の運用であれば、中々損はしないことが期待出来そうです。

このどの程度リスクを取るか、というのは難しい話です。簡易的には「100-年齢[パーセント]」以内に株式比率を抑える、というものがあります。40歳なら株式比率を60%以内にする、という事です。年を取るに従い、リスクを減らす、という観点では分かりやすい指標でしょう。

このリスクについては、以前に記事を執筆したので、よろしければ確認してみてください。

参考適正なキャッシュポジションの計算方法:非リスク資産の比率と基準

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一応運用方針と手数料も確認する

運用方針は「パッシブ運用」と「アクティブ運用」があります。色々とメリットとデメリットが言われていますが、もしバランス・ファンドを選ぶのであれば、「パッシブ運用」を選択し、市場平均と同程度の運用成績を目指した方が良いでしょう。

アクティブ運用は、ファンドによって、利益が出るかが変わってしまいますから、「ファンド選び」という要素も入ってきて、正直選択が面倒です。しかも、手数料が高くなる傾向があります。手間を惜しんでバランスファンドにしているのに、ファンド選びに時間を費やすのは本末転倒ですので、それならば「パッシブ運用」の物を選ぶべきであり、そちらをおすすめしています。

また、手数料水準ですが、バランス・ファンドは定期的に資産の組み換えをファンド内で行う都合、多少手数料が高くなる傾向があると言われることがあります。ただ、現在は割と手数料も割安になってきているのもあり、販売手数料は0%(ノーロード)、信託報酬は0.6%以内であれば許容範囲でしょう。

それを確認するのが面倒であれば、つみたてNISA対応の投資信託を選択すれば安心です。つみたてNISAは金融庁が基準を設けており、その中に販売手数料と信託報酬の基準が入っていたはずですから、あまりにも手数料が高いファンドは除外されているので比較的安心です。

おわりに

投資好きや投資を良く分かっている人からはあんまり良い評判のない、バランス・ファンドについて、実際の所を開設しました。

バランス・ファンド自体は良い商品だと思うのですが、

  • 投資に興味のある人は買わないし、
  • 投資に興味のない人は投資自体をやらないし、

で日本においては不遇な金融商品だと思います。アメリカでは確定拠出年金としてターゲット・デート・ファンドがそれなりの種類が出ている、という話も聞きます(注意:自分が興味がないので調べてません。小耳に挟んだだけです)。学校での金融教育の開始に合わせて、新しいラインナップが今後出てくることも期待できます。日本でバランス・ファンドが肯定的に評価されるには、まだ状況が良くないのかもしれません。

今回の記事で、自己責任である投資に対して、苦手意識が減ったり、リスクについて考える参考になったら嬉しいです。

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