はじめに
資産運用していると、たまに「リスクの取りすぎ」でないかと疑問に思うことがあります。企業型確定拠出年金を運用している場合は、やめる選択肢は無いのですが、リスクが適正なのか?というのは常に気になる所です。
リスクについて改めて考えるため、資産運用肯定意見と否定意見を考えたりしてみました(セルフ・ディベートってやつです)。
資産運用否定派としての主張(デメリット系)
額面が減るリスクがある
資産運用は増やすことも出来るが、減ることもある。だから、リスクがあるため不要だと主張します。
確かに、リスクの低い債券であっても、会社が倒産したら紙切れになり、価値は0円になります。また、倒産まではいかなくても、需要が無くなれば時価は下がりますので、資産が減少するリスクがあります。同様に、「時価」というのも重要で、値段が時々刻々と変わるため、一時的に額面が減るリスクがあります。
人間には「損をしたくない心理」があるので、一時的な物であっても、資産減少が耐えられない人は多いでしょうし、最終的に損失が確定することに耐えられない人も多いでしょう。ですから、納得が出来る理由です。
無くても生活は成立する
資産運用がなくても現に生活が成立している。だから、不要だと主張します。
確かに、日本はこれまでデフレであり、あらゆるものが安くなりました。結果として、生きていくだけなら、そこまで生活費がかかるとは言えない状況になりました。
20代の平均年収は280万円ほど、30代前半で440万円ほどという公的なデータがあります。これらの収入で生活が成立していた人は、支出を変えない限り、今後も生活が成立するであろう、という想定をしています。
確かに、物価が上がれば、最終的には賃金も上昇するでしょうから、現在生活が成立しているのであれば、今後とも生活は成立するであろう、と主張するのは理解出来ます。納得です。
手間・心労がかかる
資産運用は手間がかかるだけでなく、心理的なプレッシャーなど心労もかかる。だから、割に合わず不要だと主張します。
確かに、時々刻々と変わる時価や含み損を見ていると、人によってはストレスでしょう。また、運用はちゃんと考えないといけないので、勉強も必要で、適宜商品の入れ替えなど、手間も割かないといけません。
激務であったりした場合、このような手間を割くのが困難であったりします。ですから、これも納得が出来る話です。
良く分からなくて怖い
資産運用は良く分からなくて怖いから、やりたくない、不要だと主張します。
確かに、株価も良く分からないことで値段が上がったり下がったり、不祥事が出たら暴落したりするし、不祥事が無くても暴落するし、怖いのは良く理解が出来ます。「良く分からないから」資産運用しない、というのは、「分からないけど資産運用する」より、よっぽど理知的であり、合理的な選択に見えます。納得です。
資産運用肯定派の主張(メリット系)
資産の減少を防げる(現金の価値は目減りする)
肯定派は、現金の価値は目減りする。だから、必要だと主張します。
確かに、資本主義経済圏においては、基本的にはインフレであり、日本が経験したデフレという現象は滅多に起きない、例外みたいなものです。そのため、インフレにより、現金の価値は相対的に減少してく、という主張には理解があります。
こういった主張は、現金は長期保有には向かないので、より長期保有に向く資産も選択肢に入れるのが良い、という主張です。確かに、現金の価値が減っていくのであれば、他の資産に退避するのは合理的な判断に見えます。
長期的に値上がりが期待できる
肯定派は、長期的に値上がりが期待できる。だから、肯定的な主張をします。
これは選択する金融商品次第ですが、例えば株を保有する場合、企業の一部を保有することになるので、インフレに強くなりますから、最低でもインフレ分は値上がりすることが期待できます。
給与以上に伸びる可能性がある(給与の伸びには限界がある)
肯定派は、労働者の所得には限界がある。だから、運用をすべき、と主張します。
「r>gの法則」として知られる不等式は、誤解を恐れずに言えば、「資産運用による資産の増加率」と「労働により得る資産の伸び率」では、前者の方が伸びが良い、ということを主張します。即ち、労働のみで得られる資産には限界があること、貧富の差は拡大し続けること、と理解できます。
肯定派は「この機会を逃すのは見過ごせない」という主張をします。確かに、目の前に儲け話があるのに飛びつかないのは、(それが真実であれば)非合理です。納得です。
経済に興味が持てる
肯定派は、資産運用を行うことで、経済に興味が持てる。だから、資産運用をやってみたらよいのでは、と主張します。
資産運用は自分の資産を投じる真剣勝負です。そういった行為をすることで、自然と経済などの勉強をするようになる。それは自らにとってプラスになる、という主張でもあります。
「リスクと利益」そして「知識・知恵と勇気」のバランスが肝?
肯定と否定の意見をみると、結局「リスクと利益」をどうバランスするか、という所になります。
極論すると、「貯金に一切手を付けずに生活が成立する人」は別に資産運用する必要はないのです。資産運用とは「貯蓄の別形態」でしかないわけで、そこに一切手を付けないのであれば、増えても減っても関係ないですから。とはいえ、大抵の人は貯蓄に手を付けることになるわけで、結局大切なのはバランスだと言えます。
そういった「一般的な人」で「投資をする」「しない」というのは何で決まってくるのか?というと、「何がリスクなのかといった知識・知恵」と「一歩を踏み出す勇気」なのかと、改めてそう思う次第です。実際、上記に書いた通り、「良く分からないから怖い」ことは知識や知恵である程度カバーできるし、投資を肯定する意見は概ね知識や知恵に依るものだともいえます。「経済に興味が持てる」というのは、因果が逆にも見えますが、そんな簡単に割り切れるものではないでしょうし、理解も出来ます。投資のために勉強して、投資した結果、勉強する。理想的なサイクルですよね。
こんな記事を書いているので、自分は当然、肯定派で、10年程度の運用経験で、利益は十分プラスになっています。しかし、当初は「時価の変動」と「含み損」はすごく気になりました。中長期で保有することが前提で買ってたので、短期の損失とか気にしなくても良いのに、気にしてしまうのは人間の心理でしょう。
周りを見るに「額面が減るのが怖い症候群」は投資が苦手な人にありがちです。しかし、正直、やってれば慣れます。それより重要なのは、最低限の勉強をして、目的と方針を持って、資産運用をすることが肝要であると、そういうことかと改めて感じました。
肯定派だけど出てきていない人のボヤキ
投資の元本が用意出来ない
投資には元本が必要です。100万円の年10%運用より、1億円の年1%運用の方がよっぽど高い成果が得られます(10万円/年 vs 100万円/年なので)。ですから、元本力である程度成果は決まってくると言えます。
その元本が用意できないから、投資が出来ないというボヤキ…理解できる人も多いと思います。自分なら、なんとか月1万円捻出して、idecoをやるかなと思います。老後のための貯蓄はするはずなので、長期投資で増やす方向に走りたいですし、所得税の減税措置もあるので、用途が老後資金と決まっているのであればNISAよりはお得になりそうですから。
あとは、固定費の削減とかそういった部分を進めるしかないですね。あとは、今はやりの副業をやるか。でも、本業が基本で、そこで得られた利益で生活を上手く回す、というのが基本ですから、生活改善が重要かなと強く思います。
学び方が分からない
学び方が分からない…良く気持ちが分かります。以前の自分もそうでした。
今後、このサイトで、簡単な学びを紹介してきたいと思っていますので、そういった記事が上がったら、参考にして頂けると嬉しいです。
参考
時価評価に慣れるためのヒントとして、以前、こんな記事を書きました。投資に興味があり、知識も蓄えたけど勇気が出せない方のための参考になれば幸いです。