あなたも他の人の生活が気になったことはありませんか?自分も気になることがあるのですが、「生活それ自体」より、「収支に対する考え方」の方が気になることが多いです。実際、自分と同程度の稼ぎのはずでも金銭の使い方は大きく異なることがありますし、逆に自分以上の稼ぎでも同じような使い方の人もいて、価値観が出てきて面白い所でもあります。
そして、投資について、色々と記事を書いていると、「実際の投資の事例」について、思いをはせることが多くなりました。実際、そういった具体例を知っている物もありますが、一般的に想定出来る「家計」というものを考えてみました。ファイナンシャル・プランナー(FP)が沢山家計診断の記事を出していますが、あれは「具体例」から「改善」に持って行っている訳ですし、「平均的な使い方」とは言い難い所があるでしょう。
この記事では、ペルソナと呼ばれる「仮想的な人」を想定して、家計の考察から、具体的な投資例を考えてみました。一般的な条件を多数入れてありますので、きっと家計改善の参考に出来るでしょう。それでは、始めていきます。
こんな方におすすめ
- 家計計画について悩んでいる方
- 家計構築の具体的な事例を知りたい方
今回のターゲット
今回のターゲット(ペルソナ)は、以下の人です。
- 33歳、サラリーマン(世帯主)
- 年収450万円
- 都内在住
- 配偶者(専業)
- 子二人有り
- 備考:子供は大学に行かせたいと考えている
家計の考え方
家計の枠を考える際には、収入から「譲れない・外せないもの」を先に控除していくのが基本です。今回の事例で言えば、「教育費を含めた養育費」はそういった部類のお金でしょう。
逆に削減の余地があるものは、後半に考えていけば良いのです。例えば、携帯代を含めた通信費や小遣いなどはそういった類いのお金です。通信費は工夫により、かなり安くすることが出来る状況になってきましたし、お小遣いは…本人の考え方次第で諦められますからね。
収入について
時代が変わり、同一労働同一賃金の時代になりました。これは言い換えると、「同じ仕事をしているなら給料は変わらない」ということでもあります。ですから、サラリーマンをしている限り、収入は上がらない物と考えるのが家計管理上の基本です。
給与が上がれば、上がった分は貯蓄と運用に回し、資産を厚くしていくのが最優先となります。基準は、家族がいて、片方しか働いていない場合、1年分の生活費と教育費などの確定している支出残高とは別に500万円程度は準備しておくべきとおすすめはしています。これだけあれば、突然の病気などにも対応できるはずですし、ステップアップのチャンスを掴む時に心の余裕が持てるはずです。
月間支出計算
まず、年収450万円ということで、税金を引くと353万円です。月29万4千円ほど、ということになります。ここから、必要な額を引いて行きます。
考えられる科目と費用ですが、4人家族の専業ありという形だと以下の通りで、まずは考えられそうです。金額が書いていない部分については、以降考えていく部分と理解して下さい。
- 食費:6万円
- 住居費
- 子供の教育費
- 保険料:0.5万円
- 水道光熱費:2万円(家計調査報告より)
- 日用雑貨:1万円
- 美容服飾:1万円
- 通信費
- 小遣いなどレジャー費
家計に関しては、公の調査結果があり、それが家計調査報告です。必要に応じて参考にしています。
養育費と保険料
養育費は平均化して、考えるべきです。基本的に、子供が小さい時の方がかかる費用は少ないでしょうから、その時にしっかりと貯金なりをして、準備をしておく、というのが大切です。
高校まで公立を選べれば、年40万円程度の支出で教育を受けさせてやれるでしょう(参考:長野ろうきん)。ただ、子供が二人だとそれだけで年80万円、月換算6.6万円ですから、結構な支出になります。加えて雑費もかかるでしょうから、月8万円程度は見込むべきでしょう。
大学に進学する事を考えると、更にハードルが上がります。国立だとしても、250万円程度かかりますから、貯蓄で賄うにしても、22年間毎月2万円ほど貯蓄が必要です(二人分として)。子供が居て、大黒柱が1本だとすると、生命保険は必須でしょう。3000万円程度あれば、遺族年金と併せて、今後の生活も成立しそうです。ここでは、ざっくり保険料として5000円を入れてあります。
住居費の前に:子供手当と老後資金の貯蓄計画
ということで、計算をすると、このお宅では住居費と通信費に8.9万円使うと家計としては赤字ギリギリになってしまいます。正直、これではゆとりとか一切ありません。
一方、幸いなことに、この年収であれば、子供手当が出ます。3歳未満なら1.5万円、中学生まで1万円出ます。家計的には+2万円する、というより、全額貯蓄に回す、という形でしょう。何事も無ければ良いですが、医療費などの急な支出もありますから。
ところで、何か忘れてませんか?そうです、老後2000万円不足問題です。これに対応するため、このタイミングで退職金用に資産運用をすることを考えて見ましょう。65歳を定年として考えると、30年間以上の長期投資が可能となりますから、投資をしない手はありません。
ただ、2000万円は2.4万円程を30年間年利5%で運用しないと達成出来ない額です。この家計状況で、それを達成するのは非常に困難です。正直、以下の方針のどちらかを考えないといけない状況です。
- 大学進学費用は子供自身の負担とする:2万円/月の原資を確保
- 共働きにする:扶養内としても8万円/月の原資を確保可能
- 収入を上げる:上がった分だけ原資が増える
これは家庭の問題でもあるので、状況を見て判断する必要があります。おそらく、子供の手がかからなくなったタイミングで扶養内で働くのが最も簡単かつ確実な解決策でしょう。以下の検討では、老後資金を除外して検討をしていることになるので、その点、注意をしてください。
住居費について
ここまで来たので、やっと住居費を考えることが出来ます。残額は8.9万円ほどでしたね。これから小遣い、通信費を引きましょう。この家庭においては、通信費は3大キャリアだと明らかに贅沢でしょう。格安スマホじゃないとバランスが取れません。月0.2万円を2台持つ前提で、端末についても1台2万円の端末を最低2年間利用する、といった具合でしょう。月0.6万円の支出ですね。
そうなると、すると残り8.3万円です。初期費用その他は家賃の一部ですから、それも加味すると、家賃7万円以下の所が妥当、となります。都内では厳しいかもしれませんが、駅からバスの物件であったり、都内通勤圏で少し離れた所なら、十分に実現可能な水準です。できれば、小遣いの費用も捻出したい訳で、それを考えると、家賃は6万円目標、となります。6万円の物件として、6.3万円程度の費用は掛かりますから。
6.3万円に抑えられれば、余剰費が2万円くらい出るので、交際費なり、小遣いなりに当ててやれば良いでしょう。
最終的な家計計画
では、まとめて行きましょう。
- 食費:6万円
- 住居費:6.3万円
- 子供の教育費:8万円、大学進学費用分2万円
- 保険料:0.5万円
- 水道光熱費:2万円(家計調査報告より)
- 日用雑貨:1万円
- 美容服飾:1万円
- 通信費:0.6万円
- 余剰費:2万円(レジャーなどの娯楽、交際費、貯蓄分すべて含む)
- 貯蓄:2万円
合計:29.4万円+子供手当2万円
となりました。かなり、ギリギリの詰めた家計設計になっています。
特記事項は以下の通りです:
- 老後年金については、一切ケアできていないため、パート・アルバイトなども視野に入れ、世帯としての収入アップが必要
- 子供の大学進学費用は国立大学への進学費用のみ計上済み
家計改善点
ここから収入を増やさず、家計を改善するのは相当骨が折れます。
細かい部分の最適化にするしかないので、例えば、
- 食費を安い食材を活用することで0.5万円コスト削減する
- 美容服飾費用を0.3万円コスト削減する
- 日用雑貨費用を0.2万円コスト削減する
ということを頑張れば、1万円程度の余剰費を追加で捻出できます。ただ、ここまで余裕がないと、本当に収入を上げないとまずい印象です。
最終的な所感
やっぱり、500万円を年収を前提にして、今後も収入が増えないことを想定した「保守的な」見積もりだと、子供二人大学まで、というのは相当つらいです。この前提だと、そもそも子供を一人にするか、大学を全額奨学金に頼るようにするか、そういった判断を迫られる所です。
純粋に収入があれば解決できる話題でもあります。例えば、記事中でも触れましたが、専業ながらもパートで月8万円ぐらい稼いでくれば、
- 追加で月2万円を小遣いに
- 月2万円を家族旅行の積み立てに
- 月2万円を貯蓄に
- 残りの月2万円を運用に
回すことが出来、5%運用で20年後には820万円の金融資産と480万円の現金がある計算になります。合計すると1300万円ですから、老後資金も何とかなりそうです。
もしくは、副業・転職を考えることです。ただ、転職はともかく、副業は体力的にもシンドイと思うので、まずは本業の改善、つまり転職を見据えるのが良いと、知人にならアドバイスするでしょうね。出来れば、コンスタントに550万円を稼げる職種に転職するのが一つの目標になります。550万円の額面があると、手取り的には426万円ですから、72万円ほど手取り収入が増えたことになります。月平均6万円の増収ですから、上記の8万円の大半は達成できてしまいます。
この状況では、収入を増やすことに焦点を当てるのが、手っ取り早いとも言えるでしょう。30代半ばで、年収550万円を目標とするのは実現可能性が高いだろう、と考えられますし、共働きにシフトすれば目標を達成出来るため、夫婦でなら容易に超えられるから、というのを理由としては挙げられます。
おわりに
今回は、割と平均的な世帯像を想定して、家計を考えてみました。計算してみれば分かる様に、家計的には余裕はないため、何を選び、何を捨てるか、をしっかり考える必要があります。しかし、共働きの選択肢も有りますし、十分改良の余地もある状況です。まだ若い年齢の想定ですし、今後の努力で改善が狙える悪くない状況だと考えるべきでしょう。
この記事のポイントは以下の通りでした。
ポイント
- 家計を考える際には、重要な支出から確保していくのが大切
- 学費は平均的な支出に直して、着実にためていくことが大切
- 最終的に収入が足りない場合、扶養の範囲で働くことや副業・転職による収入向上を狙う必要がある
この記事が、あなたの家計を考えるヒントになれば嬉しいです。