投資信託は資産運用を行うときの有効なツールです。しかし、株式や国債と比較して、知名度の面で有名とは言えず、実際にどんな商品なのか、説明できない方も多いと思います。確かに、株式や国債の様なシンプルな商品よりは複雑ですが、整理すれば、それほど難しくないのが投資信託です。
そこで、投資信託について、全くの初心者の人に向けて、概要の理解と商品選択の助けとなる様にこの記事を書きました。この記事を読めば、「投資信託がどういった金融商品なのか?」「何が魅力なのか?」「どこに着目すべきか?」を理解でき、投資信託を選ぶ助けとなります。
それでは説明を始めて行きましょう。
こんな方におすすめ
- 投資信託について知らない投資初心者
- 投資信託の概要を知りたい方
投資信託とは?
投資信託とは、様々な金融資産をパッケージングした金融商品です。投資対象の資産クラスとしては、株式、債券、不動産といった伝統的資産から、金などの代替資産まで、それこそ様々です。
資産の分散についても様々です。株式などの単一クラスの中で分散する物もあれば、株式と債券など複数クラスに跨って分散する物もあります。勿論、商品の分かりやすさも管理上重要となりますから、金の様な代替資産については、単一クラスとなっている投資信託が多いです。
投資信託の魅力
投資信託の魅力は「敷居の低さ」「取扱店の多さ」「種類の豊富さ」の3つでしょう。それぞれ解説していきますね。
敷居の低さ
魅力は何といってもその敷居の低さでしょう。多くの投資信託は、1万円以下から投資出来、1円単位で投資が可能な投資信託も珍しくありません。低額から分散投資することが出来るのは、個人投資家にとっては大変魅力的です。
株式などを単元株で保有する場合、取引の単位はもっと大きくなります。また、株式などの固有銘柄の場合、購入額を基準に購入することは出来ません。ですから、効率良く、資金運用する際には、投資信託は有力な選択肢になるのです。
取扱店の多さ
取扱店が多いため、どこでも買えることも魅力では無いでしょうか?証券会社でも扱ってることが多いですし、銀行なんかでも扱ってることが多いでしょう。実際、銀行で待ってる間に投資信託の勧誘を受けた経験がある方も多いでしょう。
種類の豊富さ
そして、商品数が多く、様々な商品があるのも魅力です。確かに、商品数が増えれば良いという物では有りません。ですが、選択肢が多い方が自分に合った商品が出てくる可能性も大きくなると言えるのではないでしょうか?。
もっとも、様々な商品がありすぎて、自分に合わない商品、コストばかり高い商品などもあるのには注意が必要です。投資全般に言えますが、自分の選択眼は必要不可欠です。少し知っておくだけで、簡単に罠は回避出来るので、基礎だけでも知っておきましょう。
投資信託の分類について
投資信託の投資対象は、株式・債券・不動産に限らず、様々だと書きました。それでは、投資信託をどの様に選べば良いのでしょうか?
その為には、商品の分類を知ることが近道です。分類毎の特徴を知れば、結果として、投資信託その物の特徴も見えて来るでしょう。
運用スタイルで分類:アクティブ運用とパッシブ運用
最初の分類は運用スタイルに依るものです。アクティブ運用とパッシブ運用が有ります。
アクティブ運用とは、ファンドマネージャーが銘柄を選定し、それを購入していく運用を指します。多くの人がファンドと聞いてイメージするのはこっちでしょう。成果はファンドマネージャーの腕次第、ということになります。何も基準がない状態では投資するのも困るので、通常は運用コンセプトが提示されます。
例えば以下のような物です。
- 割安株を狙うバリュー投資
- 成長株を狙うグロース投資
- 配当金を狙う高配当株投資
- 投資分を指定するセクター投資
この様に投資対象を絞ることで、ファンドマネージャの運用方針を示し、ファンドとして成立させていると言えます。
対して、パッシブ運用は、インデックスと呼ばれる指標に基づき、銘柄の売買を行います。銘柄の選定もインデックスの指標に組み込まれていますから、ファンドマネージャーの判断余地は殆んどありません。ですから、成果はインデックス次第となります。
資産クラスで分類:株式と債券と不動産と代替資産
次の分類は、投資対象の資産クラスに依るものです。最初にも書きましたが、代表的な投資対象としては、伝統資産とも言われる
- 株式
- 不動産
- 債券
があります。株式と不動産はハイリスク・ハイリターンな商品です。一方で、借金の証文を纏めたものと言える債券は、リスクとしては相対的に低くなります…が、投資の適格ランク次第で高リスク寄りになるので、確認が必要な所です。
また、代替資産として、
- 金などの貴金属を含めた金属類
- 穀物などの食料
- 原油などの燃料
が有ります。代替資産として、広く投資されているのは金で、勿論投資信託もあります。それ以外の代替資産の投資信託は数が少ない様で、銀、銅などが存在するという印象です。それ以外の代替資産については、どうしても先物取引になりがちな様で、投資信託の商品性とは合わない様にも感じます。
投資地域で分類:日本と先進国と新興国
資産の由来である、地域の分類も欠かせません。勿論、日本も投資対象ですし、その他の先進国も対象です。一時期、BRICsという言葉が流行りましたが、新興国も勿論投資対象です。
最低限知っておくべき、事項として、日本と海外の区別の必要性です。この違いは、決して、経済成長率の違いではありません。為替リスクの有無が違うのです。為替のリスクもそれなりにあるので、自国通貨の資産もある程度保有した方がリスクは押さえられるでしょう。
また、新興国は先進国より投資の環境が整っていなかったり、社会情勢が不安定だったりすることもあります。そういったリスクを排するには、分散投資が良いとも言えます。
投資資産クラスの種類数で分類:単一型とバランス型
「株式のみ」「債券のみ」といった単一資産クラスへ投資する場合もあれば、「株式と債券」「債券と不動産」といった組み合わせに投資することもあります。後者は「バランス型投資信託」と広く言われています。
バランス型にはメリットもデメリットもあります。運用が楽に出来るのは大きなメリットです。その一方、他の資産がある場合に、資産の見通しが悪くなるのは大きなデメリットと言えます。
投資信託の基礎資料
ここまで、投資信託の種類などを簡単に説明してきました。それでは、投資信託がどの様に運用がなされているのかは、どの様に知れば良いのでしょうか?
そのためには、投資信託の運用を記した「目論見書」を読む必要があります。「目論見書」は商品を購入する前に必ず確認するべき書類で、これの無い投資信託は存在しません。
運用歴がある程度存在する投資信託になると、「月次レポート」と「運用報告書」も提供されます。これは、実績確認用の資料と考えて下さい。目論見書の通りに運用した結果、こうなりました、という報告書にあたります。運用報告書は通常年一度の発行ですが、より詳しく運用状況が記載されています。確認しておきたい資料の1つです。
投資にあたっては、目論見書を確認の上、運用報告書で実態を確認し、最新のデータを見たければ月次レポートを見る、というのが良いでしょう。
チェックリスト風投資信託特徴シート
以下の通り、チェックリスト風の特徴シートを作ってみました。投資信託の整理の参考にして下さい。
項目 | 投資方針 | 補足 |
運用方法 | ・パッシブ運用 ・アクティブ運用 | どちらかを選択する。 |
運用目標 | 【パッシブ運用の場合】 ・インデックスの種別 【アクティブ運用の場合】 ・ベンチマークの種別 ・投資対象 | ・アクティブ運用の投資対象は 「バリュー株」「グロース株」 「高配当株」などの投資対象を指定する |
投資対象の金融商品 | ・債権 ・不動産 ・株式 | |
投資対象の地域 | 上記の金融商品それぞれについて: ・日本国内 ・先進国 ・新興国 | 日本国内以外の場合、 為替リスクが存在する |
利回りの範囲と平均値 | (数値で入力) | 目論見書などに記載 |
リスク[%] | (数値で入力) | 同上 |
おわりに
投資信託の商品概要から商品選択の基礎知識をまとめました。投資信託は沢山の商品がありますが、しっかりと確認していけば、ちゃんと分かるようになっています。ですから、必要に応じて、確認をしていく癖をつけたいものですね。
この記事のポイントは以下の通りでした。
ポイント
- 投資信託は様々な資産をパッケージングしたもの
- 投資内容や対象である程度分類も出来る
- 詳細は各投資信託の発行している書類にて確認出来る
投資は自己責任で行う物ですから、しっかりと勉強していきましょう。