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S&P500の円建て積立シミュレーション:過去チャートから利回り計算

こんな方におすすめ

  • S&P500の円建てチャートを知りたい方
  • 過去にS&P500に積立投資した場合の利回りを知りたい方
  • S&P500のリスクを把握したい方

S&P500とはアメリカの超大型株500銘柄で構成される時価加重型のインデックスです。世界経済を牽引している、世界唯一の超大国(スーパーパワー)アメリカの超大型株!ということで、それだけで期待できるインデックスに思えます。

ただ、一方で、我々日本人としては円建てで考えないといけないので、その点、どうなんだろう?という話になります。なので、円建てにしてみたり、積立にしてみたりして、期待利回りを探っていきたいと思います。

S&P500は配当が出る

S&P500は少ないですけど配当が出ます。構成銘柄にも依存するのでしょうが、1.5%程度出てる様です。
つまり、配当再投資版も計算しないといけない、ということですね。計算の時には注意が必要です。

全体的なシミュレーション条件

まず、S&P500のETFとして、State StreetのS&P500追従ETFであるSPYを使うことにします。本当は、すぐにTicker Symbolを思い出せたバンガード VOOにしたかったのですが、年数が少ないので断念しました。正直、インデックスファンドなんで、どれでも大きくは変わらないとは思います。

為替ですが、スワップは0銭を仮定しています。実際には4銭~25銭くらいかかると思いますが、1ドル100円としても25銭は0.25%なので、無視しても。大勢には影響ないという判断です。気になるなら、最終利回りから差っ引いて考えれば十分保守的な見積もりになります。

チャート分析

ドル建て版S&P500

まずは、ドル建て版S&P500のチャートから。1997年1月を基準に配当金再投資有り無しのグラフです(横軸は月です。0なら1997年1月、10なら1997年11月です)。また、縦軸は始点の価格を基準にして、正規化してあります。

グラフとしては、2009年にリーマンショックで底になって以来、素晴らしい右肩上がりです。ただ、一方で、ITバブル崩壊、リーマンショックで1997年の水準まで株価が落ちていることは注意が必要です。

円建て版S&P500

次に円建て版だとこんな感じです。第二軸に為替レートも描きました。右肩上がり、ですが、為替リスクの分だけ、グラフとしては自然ではないのと、価格も若干下がっている様子が見えます。

ドル&円建て(再配当なし)

始点を正規化して、グラフを書きました。こうすると、変化の違いが一目瞭然ですね。

積立シミュレーション

シミュレーション条件

積立シミュレーションですが、購入日は月初の始め値で買えたものとみなして計算します。また、理想的な取引を想定します。なので、0.01株とか小数点の株数を許容することにします。投資単位が大きくなれば、ETFの粒度が細かく見えてくるので誤差になるので、誤差が気になるなら、大金を積み立てることで解決して下さい。今回は理想条件なので…。

資産は「毎月投資する額」を1とする様に正規化していますが、実際の所、気になるのは年利なので、あまり影響はないでしょう。1年で資産が10から15に上がったのであれば、年利50%というだけですからね。

シミュレーション結果

粛々と積み立てていくと、こんな感じになるという結果です。

赤の線は12ヶ月で資産+12の増加速度、つまり元本の積立速度を示しています。それを上回らないと利回りがマイナスということです。前半はほぼ利益なし、リーマンショック付近ではマイナス、と言った様子が見えます。

考察

1997年から投資を始めたとして、2020年1月つまり23年間積み立てて、元本276に対し、資産875ですから、3.17倍ほどになっています。つまり、年利8.7%程の運用結果ということになります。確かにすごいと言えばすごいのですが、意外とそんなもん、という感じもします。

勿論、算出期間にもよっていて、例えば、2012年を基準とした場合、2020年1月で資産は183になるのですが、元本12×8年=96ですから、1.9倍ということになり、年利約15%でしょうかね。海外株式の平均期待利回りが7%程ですから、それより8%も高いです。これだけを見れば超大国アメリカはすごいとなるでしょう。実際、先進国でこれだけの経済発展を遂げられるその力に脱帽するのは明らかですし、移民の国、というのはマンパワー的には有利だと、そういうことだとは思います。

一方で、ITバブルの時代にまでさかのぼると、上り調子ではなかった、ということも分かると思います。株価が安いときに仕込んで、近年の株高で利益を出す、そんなシナリオで高利回りが得られているという全期間23年積立では正しい様な気がします。

つまり、確かに高い利回りが得られることが期待できるが、年利ベースで言えばそれは9%前後程度の話であり、近年の年利15%ペースというのはやはり例外と考えるのが良さそうです。

S&P500は買いなのか?

少なくても、テスラやアップル、マイクロソフト、グーグルなどを個別に買うより断然ありでしょう。それは分散投資から考えてもそうです。

投資内容は日本に例えると「東証一部上場企業のエリート企業全部買い」な訳ですが、それでも成長力を維持している、というのは率直にすごいですし、アメリカという国家の成り立ちを考えれば、今後も継続していく可能性は高いと思っています。ただ、過去に殆ど成長していなかった様子がS&P500のチャートにも残っています。また、コロナの影響がどう響くか分からない以上、500社の分散投資で良いのか?については、考えを突き詰める必要があると考えています。

そういった背景もあり、自分個人は買わない銘柄でもあります。総合的に考えて、S&P500であるVOOを買うなら、全米株式系を買うかな、と言った感じです。この辺りはまた記事にまとめたいと思いますが、個別の事情も絡んでいます。勿論、「S&P500は伸びるんだ!」という考えでS&P500に投じるのもありです。これは、最終的には個々人の判断に依るものでしょう。投資は自己責任ですから、様々なデータを集めて、納得のいく選択肢を選ぶのが重要だと思います。

以上のデータが、投資をされる皆様のお役に立てば幸いです。

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