基礎知識 資産運用

なぜノーロード投資信託は実現出来るのか?メリットばかりの理由も解説

投資の世界では利益が出ることが最も大切です。そのためには、同一商品であれば、手数料が少ない商品を探すのが大変重要になってきます。ですから、初期コストの安い「ノーロード・ファンド」を投資対象として選ぶのは、高い経済合理性を持ちます。

しかしながら、消費者としては、「安かろう、悪かろう」という言葉を思い出してしまい、「安いのには裏があるのではないか?運用成績が悪いのではないか?」と考えてしまうものです。しかし、金融の世界ではノーロード投資信託(ノーロード投資信託、ノーロードファンド)は大変優良であり、これを選択する理由しかありません。

この記事でそれを解き明かしていきましょう。

こんな方におすすめ

  • ノーロード投資信託に疑問を持っている方
  • ノーロード投資信託について、否定的な意見を聞いたことがある方

投資信託の手数料の裏側

投資信託を運用しているファンドに支払う信託報酬は運営管理費として使われる費用です。勿論、証券の売買手数料にも使われるでしょう。

各ファンドを運用する責任者であるファンドマネージャは高給取りの印象がありますね。実際、転職関係の職種検討サイトである、キャリコネにファンドマネージャのページがあり、以下の通りの記載があります。

年代別に見ると、20代で566万円、30代で834万円、40代で1,294万円という結果でした。ファンドマネジャー単体なら、この数値より高くなることが予想されるでしょう。

[引用] https://careerconnection.jp/review/attribute/occupation7/25/rate.html

つまり、1000万円前後の給与を受け取っている、ということです。

信託報酬はどのくらいの割合で受け取っているのかというと、格安な運用手数料で有名なeMaxis Slimを確認すると、500億円未満の部分については、以下の費用がかかると書いてあります。

  • 委託会社:0.042%
  • 販売会社:0.042%
  • 受託会社:0.02%

実際の運用指示を行うのが委託会社がその取り分が0.042%です。ここには当然、

  • 運用マネージャの給与
  • 業務を行うための建物などの経費
  • 共通系業務担当者の給与

などが入ってきます。

実際の損益分岐点は分かりませんが、500億円で利益が出る設計なのは間違いないでしょうから、500億円販売出来たと仮定すると、2100万円ほどが残ります。これで収益が上がるのか?というのが、「ノーロード・投資信託」に疑念を抱く人の根本なのではないでしょうか?

販売手数料の行く先と利回り

実は販売手数料の行く先は、運用会社ではなく、販売会社に行くことが殆どです。少なくても自分は委託会社に行くという事例を見たことがありません。「販売会社」の取り分ですから、運用を実際に担当する「委託会社」の運用の助けにはならないわけです。

結果として、「ノーロードで買った投資信託A」と「販売手数料有で買った投資信託A」は物としては全く同じですから、手数料の分だけ運用利回りが悪化するのは当然です。資産運用の世界では利回りをあげられることが唯一の正解ですから、どちらを選ぶべきかは一目瞭然です。

これで結果は出てしまうのですが、それだけではつまらないので、ファンドのからくりについて、追ってみましょう。

ファンドのからくり

まずは、ファンドの種類は大きく分けて二種類あります。

  • インデックス・ファンド(パッシブ運用)
  • アクティブ・ファンド(アクティブ運用)

の二つです。インデックス・ファンドとは、「予め定義された方法により株式を買い集める」ファンドです。アクティブ・ファンドとは「運用方針に従い、ファンドマネージャが運用する」ファンドです。

それぞれについて、利益のからくりを追っていきましょう。

インデックス・ファンド

ここを見てお分かりかもしれませんが、インデックス・ファンドはこと運用については、殆どファンドマネージャの判断が入らないのです。つまり、プログラム化可能であり、実は人件費は殆どかかりません。勿論責任者は付けるでしょうが、兼任可能でしょう。そして、もしかしたら、金融の知識が無くても出来る仕事ですらありえる訳です。勿論、法規制などの問題はあるかもしれませんが、そういった規制には心辺りがありません。

ですから、100億円分売り上げて、0.042%の報酬が受け取れれば420万円の利益が出るわけですが、商品開発が終わった以降は高い運営コストが生じるとは考えられないので、基本的には薄利多売の戦略となるはずです。

なお、誤解なきように行っておくと、インデックス自体の開発にはそれなりのお金が必要となりますから、そういった商品開発費はかかっています。ただ、MSCIやFTSEなどの指数を利用していることから分かるように、外注に出してしまいますし、外注先も代表的なものは安く販売するでしょうから、コストがかかるとも言えないでしょう。

何にせよ、薄利多売で売り上げを伸ばす、というのがインデックス・ファンドの売り上げ戦略になるはずだという考えが重要でしょう。

アクティブ・ファンド

アクティブ・ファンドはファンドマネージャが選定した銘柄を売り買いすることで、「パッシブ運用」の成果を上回る成果を目指す、というものです。

こちらは、運用者の人件費が必要となってくるものです。ただ、人件費がかかる、ということもあり、インデックス・ファンドに比べて、信託報酬が高い傾向があります。ざっくり、1%が報酬であるとも言われています。

例えば、100億円分アクティブ・ファンドが販売出来たとすると、年間の収入は1億円です。1億円はファンドマネージャ6人分くらいの給与にはなりそうです。で、あれば、ファンドマネージャを2人くらい雇うことは可能に思えませんか?また、同様の運用ポリシーの商品も並列担当することで人件費も抑制できるかもしれません。

勿論、もっと沢山売り上げれば、利益が拡大することになりますから、利益率はどんどん改善することになります。

各ファンドの共通点

インデックス・ファンドとアクティブ・ファンドには、実は大きな共通点があります。それは、「運用コストは規模にほとんど依らない」ということです。

何かというと、ファンドマネージャなりが、受託会社に運用指示を出した時、1万株だろうが、10万株だろうが、指示を出す手間は変わらない、ということです。ですから、純粋に運用している純資産額が大きい方が収益的に有利である、という事が言えます。勿論、売買手数料はかかってきますが、これは受託会社の報酬ですので、運用会社には関係のない所です。

ですから、投資信託などの金融商品の世界では、「運用されている純資産額が大きい商品」が明らかに正義です。それにより、「運営コストは下げられる」「売買も効率的になる」とメリットが大きいです。この規模が正義である点については、インデックス・ファンド並びにアクティブ・ファンドの共通点です。

ノーロード投資信託がメリットばかりの理由

上記で裏側について説明してきましたが、実際、ノーロード投資信託はどうしてメリットばかりなのか?説明していきましょう

販売初期費用は無料でなければならないから

ノーロードとは運用手数料ではなく、販売費用が無料なのです。販売費用は販売した店舗、つまり証券会社に入るお金であり、ファンド自体には入らないのです。つまり、運用会社は「販売はノーロードでもそうでなくてもどっちでも良い」わけですし、販売会社である証券会社は「ノーロード投資信託を売っても儲からない」ということです

ですから、証券会社としては買ってほしい訳で、短期間で売り買いを繰り返してくれた方が儲かるわけです。

  • 少しでも利益が出ていれば、「利益が出ているから、別の商品に買い替えましょう!」
  • 損失が出ていれば、「損失を取り返すために、別の商品に買い替えましょう!」

とまあ、そういうわけです。彼らは「金融商品販売のプロ」ですから、口八丁手八丁、おだてて、褒めて、何とか買って貰う、ということです。

以上を見ても分かるように、投資家と証券会社の利益が相反しています。ですから、「ノーロード投資信託以外は買ってはいけない」し、「ノーロード投資信託でなければならない」というのが真実でしょう。

販売手数料と運用成績に関係はないから

当たり前ですが、販売手数料が高くても運用成績が良くなるわけではありません。運用のための費用が多くかけられるわけではないからですね。

ノーロード投資信託には「パッシブ」と「アクティブ」があるという話をしました。パッシブ運用は低コスト・平均的な運用が魅力、アクティブ運用は平均以上の運用かもしれない夢があります。アクティブ運用は銘柄選定の手間がかかっているので、ファンドマネージャに対する報酬を支払う必要がありますから、運用会社の取り分は高くなります。最終的に運用成績が高くなるのであれば、高い費用を払っても構わないでしょうが、それは販売手数料ではなく、信託報酬として支払うべき物です。

ちなみにですが、平均以上の運用を目指すのであれば、アクティブ運用をしている商品から選ぶ必要があります。しかし、実際の所、アクティブ運用の大半はパッシブ運用に利益で負けるそうです。結局、運用コストを上回って、平均より運用成績を上げることが困難である、ということを示しています。アクティブ運用の運用手数料はざっくり1%程度。インデックス運用が0.2%程度としても、その差0.8%を上回る運用は難しい、ということをデータは示しています。

もちろん、数少ないファンドは運用成績を超えていますし、そういった銘柄を知っていますから、まったく無い訳ではありません。

販売時のサポートは何もないから

販売手数料の分、適切なサポートが付くのであれば、販売手数料の支払いをしても良いかもしれませんが、そんなサポートはありません。

そもそも、パッシブ運用であれば、インデックスの選び方で成績が決まります。ですから、説明することはインデックスの中身だけです。ですが、それを説明できる販売員がどれだけいるのか、個人的には懐疑的です。少なくても、販売員ガチャになりますから、分が悪いギャンブルになりそうです。

そして、アクティブ運用であれば、ファンドマネージャの腕で成績が決まります。ですから、ファンドマネージャの考えを説明できないとサポートになりません。そして、それを説明できる販売員はいないでしょう。

結局、目論見書以上の説明はできず、それを読み合わせて終わるだけで、それを販売時のサポートと受け取れるのか?というのがポイントでしょう。私はサポートとは認めたくないですね。

そもそも金融庁が求めている条件に合致していないから

最後は金融庁の認めている条件です。結局、これがすべてともいえます。

「金融庁,つみたてNISAの概要」に記載がありますが、

○例えば公募株式投資信託の場合、以下の要件をすべて満たすもの

  • 販売手数料はゼロ(ノーロード)
  • 信託報酬は一定水準以下(例:国内株のインデックス投信の場合0.5%以下)に限定
  • 分配頻度が毎月でないこと

と言っているわけです。つまり、国としてもノーロードでなければならない、と考えているわけですね。

国内にいると感じませんが、日本国は一般国民を保護する傾向の強い国ですから、その国がこう言っている、というのは大きな理由と考えるべきです。

おわりに

この記事では、ノーロード投資信託は非常に良い物であるし、逆にノーロードでなければならない、と理論的な説明をしました。やはり、販売側と利益が相反するのが一番のネックですし、国もノーロードであることを推奨していますから、今後はノーロードの商品を提案してくれる証券会社か否かでお付き合いを考えても良いかもしれません。

金融の世界は知識のない人がカモにされる世界でもあります。この記事であっても、鵜呑みにはせずに、「投資は自己責任」ということを念頭に、本質を見極めていく努力をした方が、結果的に自分にとってプラスになるでしょう。

この記事が判断の材料になれば嬉しいです。

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