始めに
日本の株式はとっつきやすいので、結構、日本の株を持っている方も多いと思います。特に、上場企業だと、持株会があったりして、その持株会で買った株を証券口座に移す必要はどこかであるので、その流れで証券口座を開設しておくこともあるでしょう。
そういった方が、株を眺めると、普段見慣れない「投資法人」っていうのが出てきて、これって何だろう?ってなるかも、と思ったので、投資法人について解説を書いておきます。
これってREITと何が違うんだっけ?という疑問が湧いてきたので、どういうことか調べました。
市場の投資法人は投資信託
株式市場で出てくる「投資法人」とは「上場型投資信託」その物なのです。投資信託というと、基準日毎に基準価格が設定されている金融商品、というイメージがありますが、上場している物もあります。投資法人はその代表ともいえます。なお、前者の物を「契約型」と呼び、後者を「法人型」と呼びます。これは、「投資信託及び投資法人に関する法律」という法律で規定がされています。
会社とは法人(法律上の人)な訳なので、投資法人は何かをする組織でなければ、話がおかしいです。そして、投資法人とはその名の通り、「投資を行う法人」な訳です。そして、通常、投資法人の投資先は「不動産」であることが多いわけです。「様々な不動産に投資する」ということは「様々な資産に投資する」ことであり、一般的にこれを投資信託と呼ぶわけです。なお、投資法人には株主への分配金支払いについて、利益の90%以上を配当にあてることで法人税が免除される、という恩恵を受けることが出来ます。これにより、不動産を保有することなく、不動産投資が間接的に実現できるわけです。つまり、投資法人とは「運用会社」でありながら、利益の使い道が決まっていることにより「投資信託」としての側面を持つ、という解釈でいればよいと思っています。
なお、ETF(=Exchange Traded Fund)も上場投資信託ですが、ちょっと異なります。ETFの場合、インデックス連動型でなければなりません。投資法人は、「自ら不動産を運用する」のに対し、「ETFはインデックスに連動する(=ベンチマークになるインデックスで決まる)」ということで、大分異なる金融商品です。
細かく話をしだすときりがないのですが、
- 投資法人は「投資を行う会社」で結果を分配金で返してくれるので、投資信託の側面を持つ
- ETFも上場しているが、ETFは会社ではなく、能動的な運用は行わない
とだけ覚えて頂ければ、今後の役に立つと思います。
投資法人=REIT
現代の金融の中心地と言えばアメリカですが、1960年にアメリカで生まれ、「REIT: Real Estate Investment Trust」が誕生しました。日本ではJapanのJをつけてJ-REITと呼ばれています。REITは不動産を運用し、売買差益の取得や家賃収益の取得などといった運用を行います。そして、REITはInvestment Trust、つまり投資信託である、ということです。
REITの投資対象
REITという金融商品は、投資家から集めた資金で、不動産投資を行う物ですから、投資対象は不動産となります。代表的には、住宅、オフィスビル、商業施設、加えて物流施設までもが投資対象となっています。近年では、投資対象は拡大しており、太陽光発電や水力発電などの土地を利用した発電事業も投資対象としているケースもあります。
具体的には、
- オフィスビルや商業施設を賃貸して、テナント料を得る
- 発電した電力を電力会社に売却する
といった形で収入を得る、ということになります。投資対象は様々で、投資法人の方針によっても異なるので、購入にあたっては、じっくりと説明書きを読む必要があります。
REITのメリットとデメリット
せっかくなので、REITのメリット(魅力)とデメリットを述べていきたいと思います。
デメリット
まずはデメリットから説明します。
地価と資産価値が連動する
当たり前ですが、主力商材は「土地」であることから、地価の影響は大きく受けます。
金利上昇の影響を受ける
これは設備投資が必要な企業と同じで借入金があるためです。金利が上昇すると収益が悪化するため、それがREITの市場価値に影響を及ぼします。最悪、借金を返せず、解散、紙切れに…という可能性も0ではありません。ただ、これは別の側面でいうと、レバレッジ(=倍率)をかけているという事でもあります。手持ち資金では購入することが困難な物件を借入により得ている訳で、それによる利益の向上もありますから、一概に悪い点だけではありません。
自然災害の影響を受ける
地震などの自然災害により、施設が損害を受けると、同時に資産価値も目減りし、価格が下がります。また、その目減りした資産価値の補てんのため、分配金が出ないことがあります。
勿論、様々な場所の物件を所有する等の分散投資は実施していることが多いですが、同時に影響を受ける可能性はゼロではありません。また、投資法人の方針によっては、地震保険や火災保険に加入していないこともあり、その場合にはリスクが向上することになります(逆にその場合は、リターンは多い可能性がある)。購入時には投資方針の確認が必要です。
銘柄によっては株より流動性が低い
銘柄や時期によると思いますが、基本的に、株より流動性が低いように思います。そうなると、流動性リスクを抱えることになるので、短期・中期投資には向かない資産ということになります。
金融危機により暴落のリスクがある
これはすべての金融資産にいえることですが、金融危機により、暴落のリスクがあります。これは、金融危機により、現金が必要となった人が多く出ると、売却希望者が多くなり、結果として価格が下がる、という物かと思います。何にせよ、暴落のリスクは株も不動産も変わりません。不動産の場合、株とは違って、倒産しても最低限の土地は残るのですが、REITとしてしまうと、他の債権者の優先順位が高い可能性もあり、解散時の払戻金額は0円という最悪の可能性もゼロではありません。
メリット
次にメリット(=魅力)です。
現物に比べ、投資単位が比較的小さい
不動産を購入するには、都心のワンルームマンションであっても、2000万円程度の出費が必要です。それに比べると、REITは5万円~30万円程度で購入できる物も多く、投資単位が小さいのが魅力の一つです。
個人でもリスク分散が出来る
投資用マンションを複数個人で保有出来る人はそこまで多くないでしょう。しかし、REITであれば、投資物件を証券化して、複数人に販売しているため、
定期的に家賃収入が得られる
やはり、不動産を保有している醍醐味は、定期的な安定した家賃収入でしょう。REITも不動産に対する投資なので、社会情勢が大きく変わらない限り、安定的に家賃収入を得ることが出来ます。
まとめ
不動産投資法人からREITの説明をしました。
REITは家賃収入が魅力の商品ですが、不動産投資と同じ要因でのリスクが存在する金融商品です。購入時にはしっかりと運用方針を確認し、地理的リスクも含め、確認する必要があると言えるでしょう。
投資は自己責任なので、事前にしっかりと確認することが大切です。